調査・研究・出版
 

JIA日本建築家協会関東甲信越支部の目指すデジタルネットワーク構想


 

■デジタルの力

 デジタルデータは、瞬時に通信回線を経由して受け渡し可能なこと、複製を作成加工することによる汎用性があり、蓄積してもほとんど場所を取らないことなどに特徴がある。最近は、設計事務所も書類や図面のデジタル・ファイリング・システムを活用することにより、所内の景観もビジネス形態も大きく変わりつつある。また、ピンポイントで瞬時に求める情報をピックアップできるデジタルの力には改めて感心させられることが多い。地図情報と緊密に連携したナビゲーション・システムや進化しつづける検索ソフトの威力には目を見張るものがある。シリコンバレーにあるGoogle社の驚異的とも思えるインターネット検索システムを活用すると、日本語でも特定の個人名などが掲載されている公開記事を瞬時に一覧表示して見ることが可能となる。建築家も例外ではなく、意識してネット上に情報を提供しているか否かに係わらず、発注者側も建築家の信用情報を得るため、それらの情報を大いに活用することが可能な訳だ。それへの対応としては、信頼の置けるソースから如何に良質の情報をネット上に提供できるかではないだろうか。JIAのホームページもそう考えると大いに活用の幅が広がるように思われる。



保存問題委員会
http://www.archiweb.com/jia-hozon

住宅部会
http://jia.arcmedia.co.jp/jutaku

情報開発部会
http://www.archiweb.com/jia

都市デザイン部会まちづくり会議
http://web.jia.or.jp/cgi-bin/ud

中野クラブ
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/jia-nakano

群馬クラブ
http://wwwb.wind.ne.jp/jiagunma

長野地域会
http://www4.ocn.ne.jp/~jia-naga

JIA神奈川
http://jia-kanagawa.org

 


 

■関東甲信越支部のデジタル・ネットワークの現状

 関東甲信越支部には、現在2,521名の正会員と258社の賛助会員企業が登録されており、正会員の内約三分の一がいわゆるラージファームに属している事が特徴の一つである。具体的な活動の主体としては、一都九県にわたる12の地域会、16の各種委員会、12の部会があり、その内4の地域会、1の委員会、3の部会が既に独自にウェブサイトを立ち上げホームページを公開している。

保存問題委員会 http://www.archiweb.com/jia-hozon
住宅部会 http://jia.arcmedia.co.jp/jutaku
情報開発部会 http://www.archiweb.com/jia
都市デザイン部会まちづくり会議 http://web.jia.or.jp/cgi-bin/ud
中野クラブ http://www.eva.hi-ho.ne.jp/jia-nakano
群馬クラブ http://wwwb.wind.ne.jp/jiagunma
長野地域会 http://www4.ocn.ne.jp/~jia-naga
JIA神奈川 http://jia-kanagawa.org

 これだけ活発なウェブの活用が図られてはいるが、実はまだ支部の公式ウェブサイトがないのが現状だ。草の根的な活動の方がインターネットの世界では相応しいという意見もあるが、支部としての対外的な接点の確保と利用者の利便性を考えると、支部内の各活動主体へのポータルサイトとしての機能や、まだネットへの情報提供の場を持たない活動主体への場の提供という意味合いを含めて、期待される役割は大きいものと思われる。


■支部ウェブサイトの立ち上げ

 関東甲信越支部においては、昨年度から情報化推進特別委員会を設けて支部のウェブサイトの立ち上げとホームページの公開を目的とした活動を開始したが、具体的な予算措置がとれなかったこともあり、立ち上げには至らず方針の策定などに留まった。今年度は、厳しい予算環境の中ではあるが、支部の重点的な施策の一つとしてホームページを開設すべく予算を確保し、支部広報委員会において9月公開を目指して準備を進めている。

 支部ホームページの役割としては、支部内の各委員会・部会・地域会の組織と活動を横断的に紹介するポータルサイトとしての役割と社会への幅広い広報活動、そして支部会報誌であるBulletinを補完して支部会員への迅速な情報提供、会員同士の有効なコミュニケーション手段の提供、JIAのナレッジ・センターとしての情報の蓄積と共有機能などが考えられ、これらの機能を持たせたサイトとする予定である。


■デジタル時代の広報活動と会員サービスを考える

 JIAのホームページは、公益法人としてのミッションに則した内容掲載とその運営を図っていく必要があるわけであるが、継続職能研修プログラムを含めて、よりタイムリーなイベント・セミナー情報の提供、会員が共有できる建築デジタル・アーカイブの構築などを通して、より幅広い会員サービスの提供と一般市民(消費者)への的確な情報提供を目指していきたいと考えている。

 具体的には、今秋10月に予定しているアーキテクツ・ガーデン銀座建築祭など一般向けイベントの市民に対する広報に活用したり、建築相談・学生建築デザイン展・卒業設計コンクール・建築/街並みの保存運動・建築セミナー・会員作品展の案内などを掲載する予定だ。会員及び建築に関心をもつ一般消費者に対するメーリング・サービスや、地方在住の会員及び時間的に制約の多い会員に対するCPDプログラムの提供なども順次取り組んでいきたい課題である。その他、ビジネス・フォーラムと称する会員建築家と異業種の交流を図るダイレクトリー・サービスや「売りたし/買いたし」「求人/求職」のコーナーを設けるなど会員に対する新たなサービスの提供を図りながら、会員個人の能力と創意工夫が生かせる全員参加型の支部サイトづくりを目指したい。

 AIAがここ数年進めてきたAECdirectという建築家を含む建設産業向けの情報提供サービスは、それなりの成果を上げつつも財政面では失敗し、7億円近い負債を生じて大きくAIAの年度予算に影響を及ぼしつつあるというが、関東甲信越支部としてはネット上での過大な収益を期待するのではなく、会員サービスの向上や社会に対する広報の一手段として有効に活用されることを目指した情報ネットワークの構築を図る所存である。


     〔JIA日本建築家協会関東甲信越支部広報委員会委員長、米澤正己〕




  この原稿はJIA日本建築家協会機関紙「JIA NEWS 2001年9月号」に「JIA News支部情報―関東甲信越支部が目指すデジタルネットワーク構想」として掲載されたものです。