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「ペンドル・ヒル」の環境への取り組みは、食材の購入指針に始まり、生ごみのコンポスト化と有機農園での使用、寄宿舎や事務所の維持管理、キャンパス内の庭や樹木の管理、作業グループの運営や環境教育プログラムの提供など64項目が提示されています。そもそも彼らが集会所として使っている建物は、この場所にあった納屋を改装して再利用したものです。またキャンパスの敷地内は豊かな自然環境が保たれ、樹木の種類などが克明にマップに記録されているなど、学園がこの環境を注意深く守ってきたことがうかがえます。
そして、「ペンドル・ヒル」の環境への取り組み目標は、地球上の空気や土や水へのネガティブな影響を削減することと、その資源の適切な共有を図ることとされています。小さなコミュニティにおけるささやかな試みかもしれませんが、日常的な生活の中で実践している姿を見て、そのフィールドに触れたことは示唆に富む貴重な体験でした。環境の問題は21世紀最大の課題の一つと言われていますが、急速に進む技術革新とともに、その解決のルーツは私たちの自然を感得する心の問題であり、信条を持って美しく生きることにあると言えるのではないでしょうか。
<米澤正己、AIA,RIBA,JIA会員、(株)パシフィック・デザイン・システムズ主宰>
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