「ウッドランズ」はテキサス州ヒューストンのダウンタウンから北へ約40kmの位置にある全米有数のマスター・プランによってつくられたコミュニティーです。その面積はおよそ世田谷区と同じで、約9万人の居住人口があります。
ヒューストンのダウンタウンからのアクセスはダラスへ向かうインターステート・フリーウェイ45号線を使いますが、片側4車線のフリーウェイの中央にはウッドランズ居住者用の通勤専用レーンが設けられています。フリーウェイを離れてウッドランズの中に入って行ってもビルや住宅などの建物が見えません。道の両側はずっと松の木の樹林帯で、しばらく行くと湖が見え、中央に噴水があることから計画された公園であることが分かります。住宅地は幹線街路から入ったところに近隣街区毎に配置されていますが、既に開発されて30年近い街区は、高い樹木に囲われて森の中に住んでいるような印象です。「森に住む」というコンセプトが実現し、「ウッドランズ」が「Invisible City/見えない都市」と言われるのも頷けます。
「ウッドランズ」は1974年にMitchell Energy & Developmentにより設立されたThe Woodlands Corporationという民間会社が開発と経営に当たってきました。そのマスター・プランのデザインは「Design With Nature」という著書などでも知られる高名なランドスケープ・アーキテクトであり、エコロジカル・デザインの先駆者であり、ペンシルベニア大学の教授でもあった故Ian McHargの指導を受けて行われました。
「ウッドランズ」の居住地域は8つのVillageと呼ばれるエリアに分かれていますが、それぞれのエリアはさらに多数のNeighborhoodsにより構成されています。居住地域の間には7つのゴルフコースがあり、中でもArnold Palmerの名を冠したThe Woodlands Country ClubやJack Nicklausの名を冠したコースは有名です。近年はThe Woodlands Mallなどを中心とした商業施設や病院、会社の本社ビルや研究施設などの誘致も進んで、地域全体がベッドタウンから一つの町へと成熟しつつあります。
居住地域の開発に関しては、厳格なDeed Restrictionsという規制があり、全ての住宅などの建物とその敷地の開発は、その規制の範囲内で許可を受けて行われています。 |